第279章

「それで、二人はそのまま付き合うことになったの?」

 上村愛美はこくりと頷いた。

「まあ、そんな感じかな。私の両親も彼のことを気に入っちゃって。誠実そうだし、向上心もあるって」

「家柄は釣り合わないけど、素性はしっかりしてるからって」

 素性はしっかりしている、か。

 上村慎也を形容するのにその言葉が使われるとは、思わず鼻で笑ってしまいそうになる。

 人の顔はわかっても、心まではわからないものだ。

 小林奈菜も同じことを考えていたのか、無意識のうちに深い溜息を漏らした。

「どうしたの? 二人とも黙りこくっちゃって。私の結婚が適当すぎるって呆れてる?」

 上村愛美もつられて溜...

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