第28章

翌朝、林田翔太は早くに家を出たが、田中美咲が一緒ではないことに私は気づいた。

だから、林田翔太は会社へ行ったのではなく、何か自分の用事をしに行ったのだと私は断定した。

田中美咲が仕事に出かける前に、私は彼女を呼び止めた。「車の運転はできる?」

田中美咲は少し意外そうな顔をしたが、それでも頷いた。「大学の時に習いました。ただ、あまり上手じゃありません」

私は頷く。「ガレージに車があるから、それで私を会社まで乗せていって」

朝食の食器を片付けていた田中奈美は、その言葉を聞いて途端に警戒した。「由依さん、翔太さんは外出を許していませんよ。今のお体では……」

私は冷たく笑う。「外出を許さ...

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