第289章

車が歩道の脇に寄せて止まった。私はドアを開けて助手席に乗り込み、彼の方を振り返って尋ねた。

「どうしてここに?」

 家まではもう目と鼻の先だ。

 まさか、わざわざ私を迎えに来たのだろうか。

 今日は小林奈菜に近くまで送ってもらったのだが、少し夜風に当たりたくて、歩いて帰るところだった。

 私がそう尋ねると、西田蓮は片眉を上げた。

「俺が家の近くにいたら、そんなに変か?」

「変じゃないけど……でも、メッセージも電話もなかったじゃない。いきなり現れたら、心の準備ってものが」

 母さんの、西田蓮に対するあの熱烈な歓迎ぶりを思い出す。それから、前回私が母さんに言ってしまった言葉も。

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