第300章

「花を贈るなんて言ってたけど、もういいから」

 西田蓮の仕事を思い出し、ふと胸が締めつけられるような気がした。

 彼は実業家というわけではない。自分でお給料を稼ぐのだって大変なはずだ。貯金があることも、ここ数年実家の家計が潤っていることも知ってはいるけれど、あまり彼にお金を使わせたくないというのが本音だった。

「毎日花束なんて、すごく高いでしょう。ここ最近、蓮の気持ちは十分伝わったから。もう送らなくていいわ」

 これは決して彼を試そうとして言ったわけではなく、偽らざる本心だ。

 ここ一週間、彼は毎日欠かさず花を贈ってくれていた。

 この一週間、私は毎日幸せな気分で過ごせた。会社に...

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