第302章

わざとらしく他人行儀に振る舞う高橋文也を見て、私は笑いながら言った。

「文也さん、そういうのやめてくださいよ。私たち三人の仲じゃないですか」

 彼はそれでようやく破顔し、部屋の中へと入ってくる。そして西田蓮の隣に親しげに腰を下ろすと、ここ数日の様子を尋ね始めた。

 二、三言交わしたところで、高橋文也が私に目を向ける。

「それにしても由依、お前も大概だな。デートって普通こういうもんじゃないだろ。オフィスに男連れ込んで、仕事してるところを見せつけるとかさ」

 私は手元の書類に目を落としたまま、顔も上げずに答える。

「じゃあ本人に聞いてみてよ。もし嫌だって言うなら、文也さんが追い出して...

ログインして続きを読む