第306章

私は携帯を取り出し、適当な番号を押すふりをした。実際にはかけていない。少し間を置いてから、通話中の演技を始めた。

「……ああ、林社長ですか? 以前ご連絡させていただいた件ですが、覚えていらっしゃいますか?」

「いえ、たいした用件ではないんです。ただ最近、弊社でいくつか新しいプロジェクトが動き始めまして。もしご興味のあるものがあれば、一度お会いしてお話しできないかと思いまして。ええ、もしかしたら良い協業の形が見つかるかもしれませんし」

「そうなんです、大半はドローン関連でして。ご存じの通り、弊社も最近その分野に参入したばかりで……」

会話の中で、高橋文也が以前入札に参加したプロジェクト...

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