第328章

松本弘之のその無精な身なりを見て、私はてっきり彼がまだ任務の最中なのだと思った。

 松本弘之は首を横に振った。「今回は変装じゃないさ。ヤマは越えたんだが、ただ時間がなくてな。着替える暇もなく飛んできたってわけだ」

「奈菜の前だっていうのに、身だしなみには気を使わないの?」

 思わずそう突っ込んでしまうと、松本弘之は表情を一変させ、ばつの悪そうな顔で私を見つめた。

 そうこうしているうちに小林奈菜が到着した。私たち二人の姿を認めると、早く座るようにと促してくる。「あら、私のこと待っててくれたの?」

「朝イチでアトリエに顔出して、仕事を割り振ってから来たのよ」

「で、何の話?」

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