第332章

石野日向は、同世代の子供たちとは少し毛色が違う。

 いわゆる理系オタクというやつは、得てして無口なものだと思っていたけれど、この子は意外にも弁が立つ。

 高橋文也曰く、彼は典型的な内弁慶らしい。私に対して物怖じしないのは、以前から私の話を聞かされていたせいだろうか。

 実際、一歩外に出れば借りてきた猫のように大人しくなってしまうのだから。

「年頃の男の子なんて、そんなものよ。そのうち成長するわ」

 私はそう言って笑った。

 それ以上、彼について深く語ることはなかった。

 ネクサスの訴訟案件は佐藤武と高橋文也に任せてある。オフィスに戻り、主のいないデスクを眺めながら、私はもう一つ...

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