第333章

西田蓮が階下まで迎えに来てくれていた。

彼の姿を見た瞬間、沈んでいた気持ちがふっと軽くなるのを感じた。

まるで、私たちがまだ中学生だった頃――互いに好意を抱き始めたばかりのあの頃に戻ったかのようだ。

当時はまだ「恋」という感情すらよく分かっていなかったけれど、相手の面影がぼんやりと記憶に刻まれていて……ただその姿を見るだけで、心も視界も甘く色づくような感覚。

毎日が、はちみつを舐めたように甘かった。

こちらへ歩み寄ってくる彼を見つめていると、記憶の中にある中学生の彼が重なって見えた。

やがて幻影は完全に現在の彼へと収束していく。

私はただ呆然と、目の前の西田蓮を見つめていた。

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