第343章

カフェ『昨日』の内装はレトロ調で統一されており、実に雅やかだ。そこかしこに年代を感じさせる趣が漂っている。

私は石原実花の元へ歩み寄り、彼女の向かいに腰を下ろした。

実花は何か言いたげな様子だったが、まずはメニューを私に差し出してきた。

「何を飲む?」

「さっき二人分のスイーツを頼んだから、まだ来てないだけよ」

私は微笑み、メニューを開きながら彼女に言った。

「随分待たせちゃったかと思ったけど、まだ何も来てないなら安心したわ」

「由依の仕事が終わる時間に合わせて、早めに家を出てきただけだから。もちろん、そんなに待ってないわよ」

実花は目を細めて笑った。

「家で子供との時間を...

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