第358章

「どうして急に、そんなことを?」

 西田蓮が、私の長い髪を優しく撫でる。

「今さら正式な関係になるなんて言っても、なんだか収まりが悪い気がして」

 あの頃、数々の不運や誤解さえなければ、私と西田蓮はずっと早く結ばれていたはずだ。そうすれば、その後の数多の苦難も経験せずに済んだのに。

 私の表情から、また嫌な過去を思い出していると察したのだろう。西田蓮は慌てて私の頬を包み込み、真剣な眼差しを向けてきた。

 至近距離で見つめ合う二人。互いの瞳には、相手の姿しか映っていない。

 一瞬、本当に人生をやり直せるような、そんな予感が胸をよぎった。

「ねえ、正式に付き合ったら、前よりもっと優...

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