第393章

私たち家族はみな、張り詰めた糸のような緊張感の中にいた。直也の精神状態を、一刻も早く元に戻してやりたかったからだ。

 ここ数日で、直也は見違えるほど明るさを取り戻していた。誘拐された時のことを口にすることもなくなったし、事件直後に続いていた「悪い人たちの夢」にうなされることもなくなったようだ。

 もう大丈夫。すべて終わったのだと、私もようやく胸を撫で下ろせるようになった。

「分かった。会いに行く時は、前もって連絡を入れるよ」

 西田蓮はそう言って、私の額に優しく口づけを落とした。

 私たちは、これからの週末は必ず一緒に過ごすと約束を交わした。

 月曜の朝、私は会社へと向かった。

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