第406章

何かしら不思議な虫の知らせでもあったのだろうか。土壇場でのあがきが、私を最悪の結末から救ってくれたのかもしれない。

 とにかく、目を覚ますとそこは病院だった。

 意識を失う直前の記憶が、奔流のように脳裏へとなだれ込んでくる。

 ふと気づく。もしあの時、とっさにハンドルを切っていなければ、本当に命を落としていたかもしれないと。

 そう思った瞬間、背筋が凍るような恐怖に襲われ、思わず身じろぎした。

 ベッドの脇で誰かがひそひそと話している気配がする。私の動きに気づくと、すぐにその人影が駆け寄ってきた。

「由依、大丈夫?」

 視界に映ったのが上村愛美だったことに驚き、私は掠れた声で問...

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