第438章

もう、指一本動かす気力さえ残っていなかった。

 蓮は私の背中を優しく叩き、帰路につく際は、ほとんど抱きかかえるようにして私を車へと乗せた。

「ここ数日、まともに眠っていないだろう。本当に休息が必要だ」

 意識が途切れる直前、耳に残ったのは蓮のそんな言葉だけだった。それ以降の記憶はない。翌朝、目が覚めると、私は自宅の寝室のベッドに横たわっていた。

 母がノックをして入ってくる。「よく眠れた?」

「まあね……」

 壁の掛け時計に目をやると、すでに朝の十時を回っている。

 昨日は午後からあの実験室へ行ったことを覚えている。普通なら、もっと早く帰宅していたはずだ。一体、私はどれくらい眠...

ログインして続きを読む