第44章

「彼女が漁ったのは確かか?」

田中奈美は頷いた。「昨夜、由依さんが二階に上がるのが見えたので、ついて行ってみたんです。あなたのために栄養満点のスープを作りたいから、レシピを書き留めるペンがないかって」

声が小さかったため、私にはその二言しか聞き取れなかった。

思わず歯を食いしばる。よくもやってくれたわね、田中奈美。覚えてらっしゃい、いつか必ず追い出してやるんだから。

林田翔太は頷いて承知した様子を見せた。田中奈美が去った後、彼は振り返り、用心深い眼差しで私を見つめた。

私は何も知らないふりをして、ぐっすりと眠っているように装った。

ふと、彼が私のベッドのそばに歩み寄り、ベッドサイ...

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