第444章

オフィスに腰を落ち着けてから三十分もしないうちに、実花が姿を見せた。

 里美が彼女を案内してきて、私に手短な業務報告だけを済ませて立ち去る。実花は私の目の前にコーヒーを置くと、ふっと口元を緩めた。

「さっきの子、なかなかやるじゃない。目端が利くわね」

「どうしてそう思うの?」

 私は微笑みながら、コーヒーカップを手に取った。実花は私の好みを熟知している。買ってきてくれたのは、砂糖なしのカフェラテだった。

 彼女は肩をすくめ、私の向かいに座ってから口を開く。

「だって、会社のロビーに入った瞬間よ。すぐに私だと気づいて、『由依さんに会いにいらしたんですね』って……」

 そのまま、こ...

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