第445章

弘之は私としばらく言葉を交わしてから、ようやくその場を後にした。

 だが、彼の姿が見えなくなって間もなく、奈菜から着信があった。

「今どこ? 今日会って、ここ数日のこと話し合う約束だったじゃない」

 彼女の言葉を聞いて、ハッとした。そんな約束をしていたことすら、今日の私はすっかり失念していたのだ。

 私は苛立ちを覚えながらこめかみを揉んだ。

「ごめんなさい、奈菜。すっかり忘れてたわ……朝起きた時は覚えていたはずなんだけど、会社に着いて何人かと会っているうちに、頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃって……」

 奈菜は慌てて慰めるように言った。

「分かってる、分かってるから焦らないで。こ...

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