第452章

  蓮が直也のそばにいてくれる――そう思うだけで、妙な安心感があった。そのおかげか、その夜は久しぶりによく眠れた。

  翌朝、目を覚ましたとき、窓の外にはやわらかな陽の光が差し込んでいた。なのに、胸の奥にはどこか現実味のない感覚が残っている。

  もしかして全部、悪い夢だったんじゃないか。今の私は何事もなく穏やかな日常を送っていて、何も起きていないんじゃないか――そんな錯覚が、一瞬だけ頭をよぎる。

  けれど、それこそが一番危うい幻想だと、私はわかっていた。

  私の生活はいまだ綱渡りだ。解かなければならない問題も、乗り越えなければならない困難も、まだいくつも残っている。

  そう...

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