第470章

 私たちが話し込んでいると、店の外から不意に催促めいた声が響いた。

「お二人とも、まだご注文がお決まりではありませんか?」

 私も歩美も喋ることに夢中で、メニューを一度も開いていなかったことにようやく気づいた。私は扉の向こうに向かって声をかけた。

「今ちょうど決めるところですから、心配しないでください」

 店員は一瞬もためらわずに返してきた。

「とくに急かすつもりはないんです。ただ、お客さまには一刻も早くお茶を楽しんでいただきたくて。とりあえずお水だけお持ちしましたので、もしよろしければ今お持ちしてもよろしいでしょうか」

 ここ、本当にサービスが行き届いている。

 私は断らず、...

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