第481章

もっとも、美香には多くを語らず、今の状況では到底無理だということだけを伝えた。

「……提示していただいた条件が、私にとって非常に魅力的であることはご理解ください。そうでなければ、わざわざお会いしたりしません。ですが、どうしてもそのご要望にはお応えできないのです」

そう言って私は軽く微笑み、フォークでケーキを小さく切り取った。

私と奈菜はそれを一口ずつ口に運び、席を立とうとした。

だが、立ち上がったばかりの私を、美香が引き止めた。

「本当に考え直さなくていいの? 今日の機会を逃せば、次はもうないかもしれないわよ」

私は首を横に振り、隣の奈菜に声をかけた。

「先に出て待っていて。車...

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