第513章

ふと視線をそらした、その先に――見覚えのあるシルエットが立っていた。

 その姿を認識した瞬間、全身の血がすうっと引いていく。

 里美。

 前から、里美が美玲の一家とつながっていること自体は把握していた。けれど、実際にこうしてこのバーに現れたのを目にすると、頭が真っ白になるほど動揺してしまう。

 声を失ったまま固まっていると、蓮もこちらに身をひねり、私の視線を追って彼女を見つけた。その表情がさっと険しくなる。

 「この時間なら文也と一緒にいるはずだよな? ほとんどの社員が旅行に出てるのに……何してるんだ、あいつ」

 蓮の疑問は、そのまま私の疑問でもあった。

 私は首を横に振るしか...

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