第529章

あまり露骨に言うわけにはいかないが、私が言わんとすることを文也には察してほしかった。

「誰から提案されたの?」

文也も何か違和感を覚えたようだ。

「医療関連のプロジェクトにすごく抵抗があるみたいだね。これはある社員から提出された企画なんだけど、そいつはもう退職しているんだ」

「退職? どうして」

それはますますおかしい。途端に背筋がぞっとした。

「実家の親が病気になって、看病のために帰郷したらしい。向こうで就職先もすでに見つけてあるって」

そんな単純な話ではないような気がして、由依は少し探りを入れた。

「本当に本人が言う通りの理由なのか、まずは裏を取った方がいいわ。今は私たち...

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