第591章 最悪の事態

「父さんがおまえら全員捕まえて売り飛ばすんだ。だからもう二度と、うちのこと悪く言えると思うなよ!」

子どもが、いきなりそんなことを口にした。

そばにいた母親は、その言葉を聞いた瞬間、ぱっと顔色を変え、慌てて子どもの口を手でふさぐ。

変なことを言う子だな、とは思ったけれど、そのときの私はそれ以上深く考えなかった。子どもの中には、こうやって大げさなことを言うのが好きな子もいる。

子どもの世界では、自分の両親は何でもできる、全能の存在みたいに見えているのだろう。

「たいしたことじゃないでしょ。こっちも謝ったんだから、もういいでしょ?」

母親はそう言い捨てると、自分の子どもの手をぐいっと...

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