第592章 思い出せない

蓮の言葉が、本当に慰めのつもりだったのかどうかは分からない。

それでも――聞き終えたあと、胸の中がふっと軽くなっているのを自覚していた。

「精神科の先生がね、直也はもうほとんど回復したって。もう心の状態をそんなに心配しなくていいそうだよ」

蓮が、ひとついい知らせを告げてくれる。

思わず目を見開いた。

「本当? お医者さん、なんて?」

「今の直也は、同い年の子どもたちとほとんど変わらないってさ。ただ、あの子には人より少し強い共感性と敏感さがある。それも直也にとっては、悪いことじゃないって」

私はこくりとうなずいた。

「よかった……。じゃあ、私たちの生活、本当にこれから良くなって...

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