第602章 抽選

「駄目だよ、こんな大勢の前で離婚なんてしてどうするの。俺たち、サーカスの猿じゃないんだから」

男はどう言っても首を縦に振らなかった。

もしこれが夫婦ふたりだけの問題じゃなかったら、あたしはとっくに怒鳴りつけていたと思う。

ところが、その言葉を聞いた彼女は本気で迷っているようだった。このまま男の言い分を飲む気なんだろうか。

そこまで考えて、あたしは思わず歯がゆくなる。

「あんた……」と言いかけたところで、彼女が口を開いた。

「行かないわ。そんなに大勢じゃなくていいけど、最低でも二人は一緒に来てもらう。あたしとあなただけっていうのは絶対に駄目。嫌なら訴えて離婚するから」

その一言に...

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