第673章 誰かが死んだ

「わざとこのタイミングを狙って、パスポートを渡したのですね」

柳田さんに会うなり、私は単刀直入に尋ねた。

柳田さんは特に驚いた様子もなく、口元に笑みを浮かべた。

「何のことか分かりませんね。あの二冊のパスポートは、あなたたちのものではないのですか」

その答えを聞いて、私は彼女の顔をじっと見つめた。しかし、柳田さんの表情はいつも通りで、少しの異変も読み取れなかった。

「言いたくないのなら、結構です」私は唇を噛み締めた。「いずれにせよ、パスポートを返してくださったことには感謝します」

柳田さんは席に着くと私を一瞥し、店員からメニューを受け取って手短にいくつか料理を注文し、私たちに差し...

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