第690章 愛美、行く手を阻まれる

「ほんっと、つまんないわね。理性のほうが勝ってるくせに、さっきまであんなに情がこもった声でお母さんなんて呼んでたのは、どういうつもり?」

その女の言葉を聞いて、私は女の目をじっと見据え、一語一語区切るように告げた。

「もちろん、隙をうかがってただけよ。そっちの我慢がそこまできかないとは思ってなかったけど。――だから、そろそろ教えてくれる?」

「そこまでして私の母親の代わりになろうとして、会社の金庫までひっくり返して。いったい何を探してたの?」

女は口の端をきゅっと持ち上げ、奇妙な笑みを浮かべた。

「賢いんでしょう? なんでわからないのかしら」

その言葉に私は眉をひそめる。何を言い...

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