第732章 親父なしの子

好在上村愛美は、それ以上茶化してくることもなく、そのひと言を落としただけで、すぐに禮子と今後のことを相談し始めた。

少し迷った末に、私は西田蓮の推測を上村愛美には話さないことにした。現実的な根拠があるわけでもないし、決定的な証拠を掴んだわけでもない。中途半端な話を広めたところで、余計な不安を増やすだけだ。

「これ、けっこうおいしいね。どこかで習ってたの?」

一口食べてから、私は禮子に声をかける。

禮子は、どこか気恥ずかしそうに笑ってから口を開いた。

「特別に習ったわけじゃないんです。全部、自分で少しずつ覚えただけで」

この人、創作センスもかなりあるんじゃないだろうか。出来上がった...

ログインして続きを読む