第74章

その時、松本弘之から不意に電話がかかってきた。

私は電話に出た。「もしもし、松本弘之? どうしたの?」

彼の声が聞こえる。「林田翔太に何かあった。俺の部下が、さっき林田家の一団に囲まれて病院に入っていくのを見たそうだ」

「病院?」

私と小林奈菜は顔を見合わせた。林田翔太が病院に? なのに、今まで誰からも連絡がない。

「ああ。会議中に突然倒れたらしい。西野賢太と西野由紀子が人を連れて病院に運び込んで、すぐに林田美玲と林田蘭も駆けつけたと」

倒れた?

ふと、以前林田翔太が梅毒にかかったと知って、その症状を調べたことを思い出した。

「まさか、梅毒の第二期に入ったんじゃないかしら?」...

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