第75章

彼女は私と直也の姿を認めると、尋ねてきた。「旦那様はいつお戻りになりますか?」

私は首を横に振り、彼女に歩み寄って小声で命じた。「これからは林田翔太には決まった食器を一つだけ使わせてください。他のものには触れさせないで」

鈴木さんは一瞬きょとんとしたが、すぐに合点がいったように頷いた。

私と直也が食事を終えると、鈴木さんが彼を遊びに連れて行ってくれた。

私はというと、松本弘之から送られてきたばかりの音声ファイルを受け取った。恐らく、私が去った後の彼らの会話だろう。

部屋に入って再生すると、林田美玲の声が聞こえてきた。「さっさと誰から毒をうつされた可能性があるか考えなさい。そして、そ...

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