第82章

風がそっと傍らの木を揺らし、葉音を立てた。まるで父さんが、私に挨拶してくれているかのように。

私は涙声で語りかけた。

「お父さん……私、お父さんの言うことを聞かなかったこと、後悔してる。私、人を見る目がなかった。林田翔太は……いい人じゃなかったの」

「あいつ、私に薬を盛って、会社を乗っ取ろうとしたの。幸い気づくことができたけど……そうでなければ、今日こうしてお父さんに会いに来ることもできなかったかもしれない」

長く抑え込んでいた感情が、この瞬間に決壊した。

「あの時、お父さんの言う通りにしていれば、こんなことにはならなかったのに……」

どこからか一陣の疾風が吹き抜け、木々をざあざ...

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