第89章

家の前には大勢の記者が張り付き、近隣住民からの苦情電話が鳴り止まない。

林田翔太はマスコミへの対応と近所への謝罪に追われていたが、ついに堪忍袋の緒が切れたようだ。

「記者が勝手に来てるんだぞ、俺が呼んだわけじゃないだろ、ふざけんな!」

「文句があるならあんたが引っ越せよ! それか自分で追い払え、俺に電話してくんじゃねえ、クソが!」

彼は受話器に向かってそう怒鳴り散らすと、荒い息を吐きながらソファに崩れ落ちた。

私と小林奈菜は二階からその様子を眺めていた。彼女は面白そうに言う。

「林田翔太、発狂寸前ね」

私も笑う。

「見てなさいよ、本番はこれからだから」

それを聞いて、小林奈...

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