第92章

林田家の闇は、想像以上に深いようだ。

まさか双方が演技をしていたとは。

だが、昨日私が林田翔太に投げかけた言葉は間違っていなかったはずだ。彼ほどの切れ者なら、今回の騒動の裏で西野賢太が糸を引いていることぐらい、すぐに悟るだろう。

まったく、滑稽な一族だ。一方が騙しているのかと思えば、実は互いに騙し合っていたなんて。

車を走らせ、家路を急ぐ。今日は運命の資金審査の日だ。これまでの私の画策が実を結ぶか否か、すべてが今日決まるのだ。

自宅に到着したのとほぼ同時に、小林奈菜から電話がかかってきた。

「大変だ!」

受話器越しでも分かるほど、彼女は焦っていた。私は一瞬呆気にとられ、慌てて問...

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