第97章

私は振り返り、北川歩美に尋ねた。

「全部、撮れた?」

北川歩美は短く頷き、答える。

「ええ、バッチリです」

ここに来る前から、私は北川歩美にスマホでの録画を指示していた。マンションの管理会社側があれこれと言い逃れをするのを防ぐため、確実な証拠を残しておきたかったのだ。

私たちが録画していることに気づき、管理責任者は途端に狼狽した。彼は北川歩美を指差し、声を荒らげる。

「おい、その動画を消せ! 今すぐ消すんだ!」

彼は北川歩美を指差したまま、威圧するように詰め寄っていく。一介の弱々しい女性だと思って、力ずくでねじ伏せようとしているのが見え透いていた。

当然、北川歩美は相手にもし...

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