第98章

私は北川歩美のその格好を見て、くすりと笑った。

「あなたって、本当に細かいことは気にしないのね」

北川歩美はちょうどキャビアバゲットを口に放り込んでいるところだった。口に合わなかったのか眉をひそめ、私の声にきょとんとした顔を向ける。

「スタイリストが服を用意してくれたはずでしょう? ドレスが嫌ならパンツスーツもあったのに、どうして着替えなかったの?」

彼女はへへと間の抜けた笑みを浮かべた。

「自分の立場はわかってますから。あたしは今日、お嬢さんを守りに来ただけですし、着飾ってどうするんです?」

私は頷いた。

「本人が着たくないなら、無理強いすることもないわね」

私は北川歩美を...

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