第11章 私は結婚した

帝国ホテルのペントハウス。照明は、甘ったるくなりすぎない程度に艶を含ませて落としてある。

下山柚奈は足取りが危うく、半身を山﨑蓮に預けた。

「蓮、今日は本当にありがとう。あなたがいなかったら、横山社長たちにどれだけ飲まされてたか……」

彼女のシャツはボタンが二つ外れ、鎖骨の下に黒いレースがちらりと覗く。

山﨑蓮は柚奈をソファに座らせた。立ち上がろうとした瞬間、手首を掴まれる。

「行かないで」

柚奈は顔を上げた。目尻がほんのり赤く、濡れた瞳の奥に露骨な熱が宿っている。

「ひとりは怖いの。知ってるでしょ。昔、私がホテルで一人のとき、あなた……いつも一緒にいてくれた」

過去を持ち出...

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