第13章 自分の役割

午後の給湯室。

谷口美桜がカップを手に入っていった瞬間、さっきまでの笑い声が、ぴたりと途切れた。

「谷口さん」

購買部の蒼が、妙に馴れ馴れしいくらいの勢いで近づいてくる。

「ちょうど話してたんですよ。山﨑社長と下山部長って、けっこうお似合いじゃないです?」

そう言って差し出されたスマホ。ゴシップグループに流れた写真だった。

会議室で、山﨑蓮が体を傾けて下山柚奈の言葉に耳を傾けている。差し込む光と影が、二人の輪郭をほとんど寄り添うみたいに縁取っていた。

同僚たちは「いよいよ再婚か」「昔、結婚寸前だったんだよね」と、好き放題に囁き合っている。

谷口美桜は一瞥しただけで、コーヒーマ...

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