第130章 お守り

『自然科学』が声明を出したことで、下山柚奈事件の国際的な影響の大きさも相まって、裁判所は異例の速さで公判日程を組んだ。

開廷の日――空は重たい雲に覆われていた。

下山柚奈が法廷へ連れてこられたとき、彼女は人相が変わるほど痩せこけていた。

灰色の囚人服。血の気のない顔。目の下に落ちた影だけが、やけに濃い。

傍聴席にはそこそこの人数が入っている。メディアが大半で、残りは野次馬だ。

谷口美桜は姿を見せなかった。代わりに南川萌香が代理として出廷している。

証拠は揃い切っている。谷口美桜が、こんな場に時間を割く必要はない。

法廷では、公訴人が下山柚奈の罪状を一つずつ読み上げていく。どの項...

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