第132章 全員死んだ

面会室で、下山柚奈はガラスの向こうに座る男を見た瞬間、言葉を失った。

向かいにいるのは若い男。せいぜい二十歳そこそこ――自分よりいくつか年下に見える。

仕立てのいいグレーのスーツ。手首には、別荘が一軒買えそうな限定モデルの腕時計。

座り方もやけに気楽で、面会に来たというより、午後のティータイムにでも立ち寄ったみたいだった。

三年前に会った、あの中年男じゃない。

なのに――目だけが、ほとんど同じ。谷口美桜の整った瞳に、ぞっとするほど似ている。

柚奈は拳をきつく握りしめ、震える声で問いかけた。

「大野家の人……ですよね? 大野家の人なんでしょ。私を助けに来てくれたんですよね?」

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