第143章 彼は君が好きだ

小山海斗はさすが医者だ。買ってきた食事は見た目こそ控えめなのに、栄養の組み合わせがきちんとしていて、しかも谷口美桜の好みまで押さえている。

最後に、谷口美桜がいちばん好きなあのチョコレートを取り出した瞬間、川原遥香は確信した。

この人、絶対に美桜のことが好きだ。それも、ずっと前から。

谷口美桜が言っていたのを覚えている。あのチョコは、子どもの頃からずっと好きだと。

帰り道、遥香は我慢できずに口にした。

「ねえ、あの小山先生って何者? 美桜の海斗兄ってやつ。なんか大物っぽいんだけど?」

「児童養護施設で一緒に育った友だち」

谷口美桜はスマホのデータを見たまま、顔も上げない。

「...

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