第162章 大野家

夜、谷口美桜は病室へ前田梅子を見舞いに来た。

取り留めのない話をしているうちに、美桜は初めて知る。雲海市周辺にある児童養護施設――その「記録」が、軒並みおかしくなっているらしい。

「うちは火事でしょ。ほかはウイルスが広がったって。私もよく分からないのよ」

前田梅子はふう、と息を吐いた。

「苦労してきた子ばかりなのにね。いったい誰に恨まれたんだか……」

美桜は小さく目を見開く。

「全部の児童養護施設が、ですか?」

「そう。施設同士のグループがあるの。そこでみんな言ってる」

梅子がスマホを差し出す。画面に流れるやり取りを追った瞬間、美桜の胸の奥に、ひやりとしたものが広がった。

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