第165章 秘密

松本純子は真剣に考え込んでから、こくりと頷いた。

「覚えてるよ。私がここを辞める前年だったかな……児童養護施設の門の前に置き去りにされてた子がいてね。あの子、けっこう可愛かった。それに、あのバングルも……たぶん、いい品だったと思う」

「その子が引き取られたあともね、男の人がしょっちゅう施設に来て、いろいろ持ってきてた。わざわざ何度か、あの子を抱っこまでしてたよ」

谷口美桜は息を呑み、呼吸が少し速くなる。

「その人の顔、覚えてますか?」

「顔はもうね……でも、着てるものがいかにも高そうだったのは覚えてる」

松本純子は記憶をたぐるように、ゆっくりと言葉を選んだ。

「毎回、赤ちゃん用...

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