第168章 当時のこと

翌日。谷口美桜が会社に着いた途端、川原遥香が勢いよく駆け寄ってきて、そのまま抱きついた。

「美桜、大丈夫!? 昨日、誰かに誘拐されそうになったって聞いたんだけど!」

「……誰から聞いたの?」

美桜は淡々と返し、そのままオフィスへ向かう。

「誰って、山本さんだよ。昨日戻ってきて、その足でバー行ってさ。ついでに昨日の一件を得意げに話してた」

「遥香もバー行ったの?」美桜はぱちりと瞬きをした。

川原遥香は「へへっ」と笑う。

「遊びじゃないって。前に話した友だち、家が投資やりたがっててさ。ちょうどいいから、あんたのとこに資金引っ張ってこようと思って」

「……で、昨日は結局どうなったの...

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