第178章 あなたを信じない

特別病室のドアが押し開けられたとき、大野直哉は手元の書類に目を落としていた。

顔を上げ、入ってきた人物を認めた瞬間、眉間にうっすら皺が寄る。

「山﨑蓮? どうやって入った」

山﨑蓮は部屋に入るなり、ベッドの向かいのソファへ腰を下ろした。肩の力が抜けた、やけに気安い態度。

「大野会長。お噂はかねがね」

大野直哉は書類を置き、じっと相手を値踏みする。

数日前、小山海斗から電話を受けたからこそ、彼は雲海市へ戻ってきた。

だが専門家が来るより先に山﨑蓮が現れた。偶然のはずがない。

しばらくして、大野直哉が口を開く。

「知ってるぞ。山﨑グループの前社長。谷口美桜の元夫だな」

鼻で笑...

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