第179章 採血

谷口美桜はびくっと肩を跳ねさせ、すぐさま彼を睨みつけた。

「山本さん、人の電話を盗み聞きするなんて、ほんっと失礼です!」

「失礼? 俺、もともとそういうの気にしないし」

山本由樹は肩をすくめる。

「……お前、マジで行くつもり?」

谷口美桜はこくりと頷いた。

「梅子ママは、私のたった一人の身内です。たとえ万に一つでも可能性があるなら、行って確かめたい」

山本由樹は一瞬きょとんとして、それから吹き出した。がらんとした廊下に、その笑い声だけがやけに響く。

谷口美桜は眉をひそめる。

「……何がそんなにおかしいの?」

笑い終えた山本由樹は壁にもたれ、面白がるような目で彼女を見た。

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