第200章 遺産

谷口美桜は数秒だけ迷ってから言った。

「分かった。時間と場所、送って。時間どおり行くから」

これまで大野家の一族会には出席してきた。今さら一回だけ欠ける理由もない。

通話を切ると、美桜は車窓にもたれ、どっと疲れが押し寄せる。

こんなに急いで内輪の会議を開くなんて――また何かが起きる。そんな予感があった。

大野家は後ろ盾だ。けれど同じくらい厄介でもある。

山本由樹はわざとスピードを落とし、車体が跳ねないように気を配っていた。

会社の1階に着いてから、ようやく口を開く。

「明日、俺が送ってくよ。ついでに大野家の景色も見たいし。前は全然見られなかった」

まるで観光地にでも行く口ぶ...

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