第216章 もう邪魔しない

山﨑蓮がそのニュースを目にしたのは、喫茶店だった。

コーヒーカップを手にしたまま、指先が宙で止まる。画面に踊る見出しが、やけに目に刺さった。

【大野グループ内部抗争が激化。社長・大野直哉、実弟殺害の疑い。重要証人が突如、供述を翻す】

出張のたびに、谷口美桜はいつもこの店でコーヒーを買っていた。

今日の山﨑蓮は仕事を片づけたあと、なぜか――本当に、鬼に憑かれたみたいに――ここへ足が向いた。

このところ山﨑家も落ち着かない。大野家はオーロラ・バイオへの締め付けを強める一方で、彼は毎日、息をつく暇もなかった。

今回も、オーロラ・バイオに必要な重要原料の調達の件だ。

なぜ周辺の供給業者...

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