第218章 あの席のことは考えたことがない?

三十分ほどして、山本由樹は谷口美桜を連れ、華海ホテルの一室へやって来た。

大野文彦はすでにパジャマ姿で、顔には疲れがにじんでいる。

普段ならとっくに寝ている時間だ。だが今夜は、どうしても眠れなかった。

大野家の内輪揉めは、ついに会社にまで影響が出ている。大野秀島は言葉を失い、意識も時折あやふやになる。周囲は皆、文彦に答えを求めてくる。どうするのか、と。

そんなところへ、谷口美桜と山本由樹が揃って現れた。

――ろくな話じゃない。そう直感した。

山本由樹は彼を見るなり、にこりと頷いただけで、部屋の隅に腰を下ろした。

谷口美桜は印刷した証拠の束を差し出す。

「おじいちゃん。信じられ...

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