第226章 毒を盛られる

大野直哉はリハビリを終えると、両脚にじわじわと感覚が戻ってくるのを確かめた。口元の笑みが、いっそう濃くなる。

吉岡誠二がタオルを差し出す。

「大野会長、お疲れさまでした」

「疲れちゃいないさ。俺の脚もな……どうやら助かりそうだ」

大野直哉は口角をわずかに吊り上げた。

「谷口美桜、谷口美桜……まったく。あいつ、母親と同じで医療の天才だな。だが――それがどうした?」

結局、俺の治療に使われるだけだ。

吉岡誠二はうなずく。

「会長は運がいい。まさか谷口美桜が“あの子”だなんて、誰も思いませんでした。ただ……」

唇を舐め、声を落とす。

「次の治療に影響しませんか? 万が一、臨床試...

ログインして続きを読む