第232章 清算

大野文也が雲海市に着いた頃には、空はもう白みかけていた。

彼はその足で法律事務所へ向かう。

数人の弁護士が、谷口美桜から提出された証拠のコピーに目を通していた。机の上には書類が山のように広げられ、誰の顔色も冴えない。

大野文也が扉を押し開けると、ひやりとした外気が室内へ流れ込んだ。

「どうだ」

父に長く仕えてきた平井が眼鏡を外し、力なく首を振る。

「大野社長、証拠のつながりが完璧すぎます」

「録音、写真、送金記録、海外口座の入出金……どれも逃げ道がありません。特にあの録音です。大野直樹と大野社長の会話。本人が自分で認めている。これは……ひっくり返せません」

大野文也は拳を握り...

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